今春の東大入試で、東京都立日比谷高校が48人の合格者を出し、全国で9番目に多かった。日比谷の東大合格者数ベスト10入りは、1970年以来ほぼ半世紀ぶりだ。近年、進学実績を徐々に高めている都立高校。2018年の最新データで実力を探ると……。
東大の合格者数は、175人でトップの開成(東京)を始め、上位に首都圏の私立・国立高校が並ぶ。そのなかで、日比谷は前年の45人から3人増の48人と9位に。私立海城(東京)と私立渋谷教育学園幕張(千葉)も同数で9位だった。上位20校のうち、公立は日比谷のみだ(いずれも3月末の集計時点)。
日比谷は近年、東大合格者数を伸ばしてきた。11~13年に30人前後だったが、16年には53人が合格。直近3年間は50人前後で推移する。湘南(神奈川)、県立浦和(埼玉)、県立千葉(千葉)など首都圏のほかの公立トップ高校と比べると、躍進ぶりがわかる(グラフ1、週刊朝日2018年4月6日号などから作成)。
旧制一中の流れをくむ名門校・日比谷だが、99人で5位だった1970年を最後に、東大合格者数トップ10から姿を消した。60年代に都立高校に導入された学校群制度の影響だ。学校間の学力格差解消などをねらい、複数の高校を一つの学校群にまとめ、合格者を振り分ける制度。必ずしも希望校に進学できないため、都立高校離れを生んだ。制度はその後に廃止されたが、私立・国立志向が定着する流れを生んだ。
転機となったのは、都立高校復権のため、2001年に日比谷、戸山、西、八王子東の4校が「進学指導重点校」に指定されたことだ。進学指導に強い教員を公募して配置するなど、過去にない取り組みを開始。その後、青山、立川、国立の3校も追加指定された。