さらに、野党各党は証人喚問前に、勾留されている籠池泰典氏に会っている。私は、籠池氏に会った議員たちが当然、籠池氏から何らかの新しい事実なり手がかりを掴んでいて、それらを証人喚問の場で佐川氏にぶつけるのだろうと予想していた。ところが、それらしいものは何も出なかった。野党議員たちは籠池氏と会って、一体何を話していたのか。あらためて疑義を覚えざるを得なかった。

 もっとも、大問題を抱えているのは安倍内閣である。

 もしも、3月2日付の朝日新聞による、財務省の決裁文書が改ざんされている、との報道がなければ、財務省は国民を騙しつづけるつもりだったのである。民主主義を標榜する国家にはあってはならない、とんでもないことである。

 安倍首相や麻生財務相は、この事実を知っていて認めていたのか。この場合には、当然ながら、首相も財務相も失格である。当然辞めなければならない。そして知らなかったとすれば、あまりにも無責任で、その責任を取るべきである。

 もしかすると安倍首相は、証人喚問で野党各党が佐川氏から何も引っぱり出せなかったことで、一件落着を図ろうとしているのかもしれない。だが、財務省がなぜ決裁文書を改ざんしたのか、そもそも、なぜ近畿財務局が国有地を8億円値引きしなければならなかったのか、こうした疑惑に蓋をして落着を図るのは民主主義に対する冒涜である。

週刊朝日 2018年4月13日号

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼