面白くないわけがない。
アイドルグループB1A4のメンバー、ジニョンが今年1月、俳優としての初のファンミーティングを東京で開いた。ロマンス時代劇「雲が描いた月明り」で主演のパク・ボゴムの恋のライバル役を好演。白馬の王子さま的な役どころで、気障(きざ)なセリフの連続だった。
「役を理解するのに時間を費やした。鳥肌ものの(甘い)セリフをいかに淡々と言うかを研究しました」
と明かしたジニョン。劇中同様、魔性の笑顔でファンをときめかせていた。
韓国では、俳優活動をするアイドルを「演技ドル」と呼ぶ。元祖はRain(ピ)。03年、「サンドゥ、学校へ行こう!」で主演、その後ハリウッドデビューも果たした。最近は、一作品に1人は演技ドルが登場。昨年の「TSUTAYAアジアTVドラマ年間レンタルランキング」の1位から5位までが、アイドルが主演級を務める作品だった。
「制作費の高騰などで、今、輸出を視野に入れた制作は必須。知名度のあるアイドルを起用するようになりました」(前出の安部さん)
一方、アイドル側にも俳優を目指す理由がある。
「韓国はアイドルの寿命が短い。特に男性は兵役後、芸能界で生き残るために『俳優』が選択肢の一つとなっています」(同)
だが、実力が伴わなければ、目の肥えた視聴者を満足させることはできない。
「アイドル出身の潜在能力は高い。表現力をステージで鍛えられているため、演技センスに結びつく子が多く、勘どころをつかめばメキメキ上達する」(衛星劇場のトーク番組「どっぷり韓国ドラマ」などに出演中のライター、高橋尚子さん)
演技ドルは、なぜか悲運の死を遂げる役柄を任されることが多い。
「音楽活動を並行しているので、撮影に費やせる時間が限られている。早めに撮了せざるを得ない場合、死という形をとるケースがあります」(同)
中でも、多いのが「身代わり死」。「雲が描いた月明り」では、ジニョン演じるユンソンが暗殺者からヒロインを守るため、主人公の代わりに矢を受けた。