こうした視聴機会の拡大を後押しするのが、最近のK−POP人気。俳優業に挑戦するアイドル「演技ドル」(後述)の存在が、若い世代が韓流ドラマを見るきっかけになっている。
一方、供給サイドの韓国のドラマ事情はどうか。ここ数年、コンテンツの数は増加。キネマ旬報社の『韓国テレビドラマコレクション2018』には、140本の新作が新たに掲載。編集長の岡崎暢子さんは明かす。
「作品はキャストや話題性などから厳選して掲載した。把握しきれていない分まで数えると、実際は年間200本近くの新作が出てきているのではないか」
内容も変化。00年代初めは純愛ものが量産された。
「それ以降は『冬のソナタ』のような純愛ものはことごとく失敗。今は制作自体があまりされていません」
そう語るのは、1200本以上の韓国ドラマを見てきた韓流エンターテインメントライターの安部裕子さんだ。
「ここ1、2年は『ジャンルドラマ』と呼ばれる専門職を扱った作品が圧倒的に多く、恋愛ものではタイムスリップなどファンタジー要素を組み合わせた、ひとひねりある作品がヒットしています」(安部さん)
「ファンタジーといっても、脚本は緻密に練られ、映画のように重厚感のある絵で、見応えのあるものが多い」(岡崎さん)
現在、韓国でオリジナルドラマを放送しているのは、地上波3局に加え、CJ E&M傘下のケーブルテレビtvNとOCN、11年に大手新聞社が設立した“総合編成チャンネル”のJTBCとTV朝鮮とチャンネルAの計8局。長年、地上波以外はドラマ制作を行ってこなかったが、12年、tvNのドラマが大当たりして各局は制作に乗り出した。昨年はケーブル放送の「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」が最高20.5%と高視聴率を記録。ちなみに、ケーブルの視聴率5%は地上波の15%に値するという。
最近、台頭してきたのが「ウェブドラマ」だ。ポータルサイトが制作し、公開もウェブ上。1話15分程度で、すき間時間に楽しめる。話題作はテレビ用に再編集されたり、日本で劇場公開されたりもしている。