韓国のドラマ制作会社関係者は「韓国はドラマ無限競争時代に突入。今年は競争がピークに達するだろう」と予測する。視聴者の支持を得るため、テレビ局もドラマ制作会社も、頭をひねり尽くす。まさに、量が質を生むとはこのことだ。

 韓国でドラマは海外輸出の主力品目の一つ。実はドラマは他の製品の海外広報部長的な役割も担っており、これが面白いドラマを生み出す“促進剤”となっているようなのだ。

 例えば、「太陽の末裔 Love Under The Sun」で、兵士が水に“粉”を入れて飲むシーンがある。飲んでいるのはスポンサーである高麗人参ブランド「正官庄」の「紅参クール(COOL)」。ご丁寧にセリフで飲み方まで教えている。また、ドライブ中の男女が「自動運転モード」に切り替えて車中キスをし、ヒロインは、自身が広告モデルを務める口紅を塗ってデートに行く。

 これらはすべて間接広告(PPL)だ。韓国では、番組の途中のCMが法律で禁止されているため一般的な手法になっている。海外展開が期待されるドラマでは、携帯や化粧品、自動車のような輸出商品のPPLが多いという。面白いドラマが増えれば増えるほど、海外に出ていくドラマが増え、関係する企業や国もそれだけ潤う仕組みなのだ。

 もちろん、韓流ドラマの魅力はストーリーや俳優の演技力が大きい。だが、取り巻く周囲の商魂も“進化”の鍵なのかもしれない。

 韓国では世相とドラマは密接にリンクしている。最近は、最高視聴率28%超の韓国版“プリズン・ブレイク”こと「被告人」や「賢い監房生活」(Netflixでは「刑務所のルールブック」)など、刑務所を舞台にしたドラマが人気だった。その背景には、朴槿恵(パククネ)前大統領の収監があるという。

「韓国国民にとって大きな衝撃だった。彼女が過ごすのはどんな場所なのか、刑務所に関心が集まった。それがドラマ制作のヒントとなったことは容易に考えられます」(作家のキム・ビンナレ氏)

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