女性の脱毛症は病気や栄養不良が原因のものも少なくない。「加齢のせい」とあきらめず、きちんと検査を受けることが大切だ。頭髪だけでなく、「まつ毛が少ない、短い」という悩みを解消できる治療薬も登場している。
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髪の毛は「成長期」→「退行期(成長が鈍る)」→「休止期(抜ける準備)」という毛周期を繰り返している。脱毛症は、何らかの原因でこれが乱れ、抜け毛が多くなったり、太く長い毛が細く短い毛に置き換わったりする。
女性の脱毛症で多いのは頭の広い部分の毛が抜けて薄くなる「びまん性脱毛」といわれるタイプだ。横浜労災病院の齊藤典充医師はこう話す。
「加齢によるものと思われがちですが、詳しく調べるとそうではないケースも多いです。原因によっては治療が可能なので、悩んでいる人は諦めないほうがいいでしょう」
治療可能なものとしては、「膠原病や慢性甲状腺炎など内分泌異常の病気によるもの」「貧血」「急激なダイエットや高熱などの病気で食事がとれなくなることによる栄養障害」「痛み止めや抗うつ薬などの副作用」などがある。
神奈川県在住の主婦、柴田恵美さん(仮名・48歳)が脱毛に気が付いたのは1年ほど前。冬にもかかわらず、暑がりになり、全身に汗をかくようになったころだった。前頭部から頭頂部にかけて毛が薄くなり、齊藤医師に診てもらった。
血液検査の結果、甲状腺機能亢進(こうしん)症であることが判明。甲状腺から甲状腺ホルモンが大量に分泌されるために全身の代謝が高まる病気だ。圧倒的に女性に多く、体重減少、動悸、多汗の症状などが起こる。
柴田さんは齊藤医師に紹介された内科で病気の治療を開始、甲状腺ホルモンの合成を抑える薬を服用した。2カ月ほどで正常値になり、同時に髪の毛のボリュームも戻った。現在は年相応になったという。
「脱毛症の原因を探るためには詳しい問診とともに血液検査が必須。まずは皮膚科に相談しましょう。薬の副作用で起こっていると思われる場合は、脱毛の起こりにくいほかの薬にかえることで対処できます。ダイエットなど生活習慣によるものは食事や睡眠をしっかりとることで、髪の毛がきちんと生えてきます」(齊藤医師)