体のどの部分よりも外に出ている時間が長く、紫外線や乾燥のダメージを受けやすい手や唇。空気が乾くこの時期は特に荒れがちだ。年齢が出やすい部分だけに、効果的なお手入れを心がけたい。
「手荒れの原因となることを避けて、ハンドクリームでしっかりケアをしてあげることが大事です」
こうアドバイスするのは、埼玉県済生会川口総合病院皮膚科主任部長の高山かおるさん。手荒れの主な原因は、洗剤などの化学物質や、水やお湯といった物理的刺激など。やはり仕事や家事で水仕事をする人ほど手が荒れやすい。
「例えば、水仕事をする場合は、洗剤を低刺激のものに替えて。また、原液を直接スポンジにつけて使うのではなく、薄めてよく泡立ててから使うなどの工夫が大切です」
食器洗いや風呂掃除などでは、必ずゴム手袋を。ゴム手袋で手が荒れる人は、綿か絹の手袋の上からゴム手袋をはめるとよい。
意外な手荒れの原因を指摘するのは、野村皮膚科医院(横浜市神奈川区)院長の野村有子さんだ。
「それは、洗濯物をたたむという行為です。布が指先の油分や水分をもっていってしまうため、指先が荒れるんです。手荒れがひどいときは、洗濯物をたたむときも、綿や絹の手袋を使ったほうがいいでしょう」
このほかにも、手洗いのしすぎ、昨今よく見かけるアルコール消毒なども、手荒れの原因になる。
続いて、ハンドクリームの使い方だが、手荒れが気になる人の中には、「使っているのに、カサカサする」と不満に思っている人も多いのでは?
「おそらくそれは、使っている量が少ないのでしょう」(野村さん)
ハンドクリームの使用量は、ワンフィンガーチップユニット(1FTU)が目安。“大人の人さし指の指先から第1関節までにのる量(およそ0.5グラム)で、手のひら2枚分”の分量だ。実際につけてみると、意外とたっぷりと感じる。
「まずは、その分量を手全体に優しくなじませます。荒れているからといって、ゴシゴシとすり込まないように」(同)
全体になじませたら、指先を一本一本ていねいにマッサージ。血行がよくなり、ささくれなども予防できる。爪の上や周りもしっかり塗ろう。その上で、まだ乾燥しているところがあれば、そこを2度塗りする。
高山さんもやはり、「使っている量が足りない」。その上で選び方、塗り方を教えてくれた。
「ビタミンE入りのハンドクリームは血流がよくなるので、特に手荒れがひどい人にはオススメです。予防ということであれば、値段に関係なく、使い心地のよい好きなものを選んで。大事なのは、機能よりもお手入れを続けることです」
ハンドクリームをたっぷり塗ると、手がベタベタして気持ちが悪いと感じる人はどうしたらいいか。
「昼間はローションタイプ、寝る前はクリームや軟膏タイプというように、使い分けをしてみて」
と野村さん。高山さんもこんなコツを伝授する。
「塗るときは、縦(手首から指先のライン)ではなく横に。というのも、手のシワは横に入っているため、シワの溝に入れるようにハンドクリームをつければなじみやすいです」
なかには「水仕事の前は使えない」と思っている人もいるだろう。実はそれは誤解なのだとか。
「ハンドクリームの有効成分は皮膚の表面にある角層にすぐに浸透するので、水やお湯でも完全には落ちません。また、ハンドクリームの中にはバリアクリームといって、皮膚に膜を作り水仕事の刺激から手を守ってくれるものもあるので、塗らないより塗ったほうがいいでしょう」(高山さん)
夜は、ハンドクリームを塗った後に、綿か絹の手袋をはめて寝ると、ケア効果がいっそう高まる。野村さんによると、指先を切った手袋を使うと蒸れなくなるため、寝ているときに外さなくなるそうだ。