ハンドクリームでおなじみのユースキン製薬は、指先の荒れを“他人目線”でチェックできる「ハンドセルフィー」をすすめている。
「意外と自分の指先の荒れに気づいていない方が多い。普段、見る機会が少ない指先をスマートフォンで撮影することで荒れに気づき、早めのハンドケアにつながります」(同社広報)
ささくれ、あかぎれ対策についても聞いた。
「ささくれはむかずに、爪切りで切る。そのあとハンドクリームをたっぷり塗ります。あかぎれは、まずハンドクリームや軟膏を塗って、その上にハイドロコロイドという被覆(ひふく)材や、医療用の紙テープを貼ります。物理的に傷口を閉じてあげることで、治りが早くなります」(高山さん)
次は、唇のお手入れ。花王メイクアップ研究所上席主任研究員の田村英子さんが次のように説明する。
「唇は皮脂腺や汗腺がなく、角層が薄い。それだけ乾燥に弱いんです。でも、角層が入れ替わるターンオーバーは皮膚が14日に対して、唇は3.5日と早い。荒れやすいけれど、ケアをすればすぐによくなります」
気になる唇のカサカサや皮むけを予防するには、やはりリップクリームを使うのが一番だという。唇のバリアー機能は非常に低いため、顔に使う保湿剤だけだと、水分が蒸発してしまう。
「リップクリームには唇を覆って水分を飛ばさない、うるおいを閉じ込める役目もあります」(田村さん)
乾燥すると唇の皮がむけることがあるが、「むかないで」と田村さん。
「皮むけは、乾燥によって角層の代謝が悪くなったために生じる。不要になった角層の細胞がいつまでも残っている状態です。だから、無理やりむくのではなく、保湿をしつつ自然にはがれるのを待って」(同)
ケアも「ハンドクリームと同様、リップクリームもたっぷり塗って」とアドバイスするのは、前出の野村さんだ。
「リップクリームの種類は何でもいいですが、やわらかめのものがいいでしょう。荒れやすい人は低刺激、無香料、無色素のものを」
塗る量のイメージは“リップグロス”。けっこうたっぷり塗る。また、外出時だけでなく、朝晩のスキンケアや寝る前にもリップクリームを必ずつけること。
「リップクリームは外出時にと思っている人も多いのですが、家にいるときにもつけて。乾燥している時期は常にリップクリームが唇にのっている状態が望ましいです」(田村さん)
野村さんは「食事と歯磨きに注意して」という。
「味の濃いものや、刺激がある食べものは、当然、唇を荒らします。食べるときは素材を小さく切り、唇に料理がなるべくつかないようにするといいでしょう。歯磨き粉も研磨剤が入っているため、唇が荒れます。少なめの量を仕上げに使うぐらいでもいいかもしれませんね」(野村さん)
日ごろ何げなく行っている手や唇のお手入れ。きちんとやれば結果につながる。取材中、野村さんからすすめられてリップクリーム(ふだん患者に処方するもの)をつけてみた。大豆の粒ほどで思った以上に量は多め。だが、その効果は絶大で、取材後3時間以上たってもプルルンとしていた。
■ハンドケアのポイント7カ条
・使用量は“ワンフィンガーチップユニット”が目安
・指先は1本ずつていねいにマッサージ
・乾燥している部分は2度塗り
・就寝前は“ハンドクリーム+指先を切った手袋”
・ベトベト感が気になる人はローションタイプを
・水仕事の前にも塗って手荒れを予防
・ハンドクリームは縦ではなく横になじませる
(本誌・山内リカ)
※週刊朝日 2018年3月2日号