昨年は沢村賞を獲得するなど、名実ともに日本球界ナンバーワンの投手となった。打者からすれば「追い込まれたら、最低限球数を投げさせよう」と菅野に対して考える。ファウルでカットされるなど粘られて、球数はかさんでしまう。これは絶対的な存在ならではの悩みでもあるが、相手に意識のない意外性のあるボールとして、追い込んでから1球で終わらせられる可能性があるのが「インスラ」だ。完投数を増やし、年間200投球回を投げるためには、省エネで投げることも必要。彼の高度な取り組みには共感できる。
巨人は今季、リーグ2連覇中の広島を倒して、V奪回が最優先課題である。そのためには、菅野は広島戦に負けてはいけない。広島には鈴木誠也をはじめ、新井、エルドレッドなど右の強打者がいる。私が阪急相手に使ったように、1試合の中で1、2球でもいいから、選択肢として「インスラ」があれば、抑えられる可能性は高くなる。
菅野のようなエースならば、オープン戦の結果は関係ない。今はシーズンで使える武器を増やすために時間をあてられる。西武の菊池はフォークボールに磨きをかけているという。球界を代表する投手の、キャンプでの新たな取り組みを見るのも、また面白い。
※週刊朝日 2018年3月2日号
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