と、仕事第一を勧める。違いを出すための藤川さんのアドバイスは、若い人のみならずとも参考になる。
「我々の若いころは、協調性を持って人と同じことをやっていればよかったのですが、今はそれでは生き残れません。人と違うことができて初めて、選んでもらえるようになる。当然、選んでもらうには、自分のできることが役に立ち、価値を提供できるものでなければなりません。人と違う能力を身につけることを意識してやることです」
そのためのポイントは「かけ算」。「FP」と「税理士」で考えてみよう。両方とも資格を持っている人は数十万人いて、一つだけでは特徴が出ない。しかし、二つを掛け合わせるとどうか。一気に該当者の数が少なくなり、新しいマーケットが目の前に広がる。
「無から有を生むことなど天才にしかできませんが、かけ算なら多くの人が挑戦できます。それで自分なりのニッチを見つけることができれば、気がつけばその道の第一人者になれる可能性すらあります」(藤川さん)
収入の増えない時代でも、人との差別化に成功すれば道は開けるというのだ。
話を戻すと、大江さんはロングセラー『となりの億万長者』を初めて読んだときのことが忘れられない。
「全米で純資産を100万ドル以上持つ人たちの暮らしぶりからお金が貯まった理由を調べた本なのですが、結論は何と『収入以上に使わない』、ただそれだけでした。当たり前のことですが、普通の人は頭ではわかっていても、当たり前のことができないんだということを、しみじみ思いました」
確かに、収入が少なくてもお金がある人は大勢いる。どう支出するかが大切だ。(本誌・首藤由之)
※週刊朝日 2018年2月16日号