マイホームはいつの時代でもあこがれの的だ(大阪府吹田市の住宅展示場)
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企業規模別、日本企業の生涯賃金(2015年)(週刊朝日 2018年2月16日号より)
企業規模別、日本企業の生涯賃金(2015年)(週刊朝日 2018年2月16日号より)

「女子大生向けのセミナーで、『老後の話をしてほしい』とリクエストされたときには、さすがに驚きました」とフィナンシャルプランナー(FP)が言うほど、昔と比べ今の若年層は資産に対し意識が高い。いったい若い世代はどういう世界に生きているのか、現状を知り問題点を把握したい。一方で変わらない原則はあるはずだ。現代マネーの「不易流行」を知ることで貯める王道を探っていこう。

【図表】企業規模別・学歴別にみた男女別の生涯賃金はこちら

 独立行政法人労働政策研究・研修機構は毎年、「ユースフル労働統計」でサラリーマンの「生涯賃金」を割り出している。過去に受け取った賃金の総額を調べる統計はないため推計値だが、一定の目安にはなる。

 最新2017年版の企業規模別・学歴別にみた男女別の生涯賃金をみると、1千人以上の企業に勤める大卒男性の「3億1990万円」が一番高い。大卒男性では、100~999人の企業が「2億5760万円」、10~99人の企業が「2億2100万円」と、企業規模が小さくなるにつれて生涯賃金は低くなる。

 どの学歴でもこの傾向は変わらず、また、男性に比べると女性のほうが生涯賃金は低い。ただし、この金額は「額面」だ。税金と社会保険料を除いた「手取り」は、家計調査などを見ると、この金額のおよそ8掛けが目安になる。例えば1千人以上の企業に勤める大卒男性の生涯手取り額は、3億1990万円×0.8で「約2億5600万円」だ。

 労働者の待遇に詳しい日本総研理事の山田久さんによると、日本の賃金は1990年代半ばまでは右肩上がりが続いたが、その後、下落に転じて長期低迷し、2010年代に入って、ようやく底を打ったという。

「ピークは金融危機が起きた97年でした。不況が深まるにつれて給料の底上げであるベースアップがなくなり、かつ中高年の水準が下落し、ダブルの影響で賃金は下がっていきました。アベノミクスで下げ止まり、今は若干上昇しています」

 確かにユースフル労働統計でも、生涯賃金は90年代のピークから1割強?2割落ちている。問題は今後の見通しだが、山田さんは今後、中年層(40~50代前半)の賃金が削られる可能性が高いとみている。

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