――ベストテンといえば、そういった演出やセットでも話題でした。
そうそう、田原俊彦さんと近藤真彦さんが、水をかけると洋服の色が変わるっていう実験的な演出もあったわね。あれは面白かった。
――黒柳さんがアイデアを出されることも?
率先して出そうとは思ったりしませんでしたが、「ルビーの指環」が12週連続1位になったらパンダの中に入るって約束して、パンダの着ぐるみを着たのは覚えていますよ。あれは大変でしたね、ぬいぐるみに入ってるのに目のまわりを黒くして。
ほかにも、プールで水中ヨガをしたりと、わりといろいろやりましたが、それほど大変だったということはないと思います。
――ベストテンをやっていていちばんよかったことは?
毎週新しい、いま流行っている音楽が聴けたことですね。あの頃特に、音楽が盛んだったじゃない? いまになってみると、いわゆる「ベストテン音楽」っていうのがあったなと思うんです。それを12年間ずっと聴けてたって言うのは本当にラッキーだと思いますよね。だからみなさんが歌っているときは、楽しんで聴いていました。
――個人的にお好きな曲などはありましたか?
ルビーの指環かしら。やっぱり順位が上の曲はどれもいいんですよ。聖子さんの曲は全部好きでした。明菜さんの歌も好きでしたが、聖子さんは特別。なかでも「青い珊瑚礁」はとても印象深いです。
――ベストテンのような番組が見たいという声をいまだにたくさん聞きます。
そうね、今は、どういう曲が一番みんなに支持されているかっていうのがわからないじゃない? 当時はNHK紅白歌合戦のスタッフも、ベストテンを重視して出場者を決めてたんじゃないかなって思うくらいでしたから。いまもベストテンみたいな番組があればいいなと思いますね。
――そういえば当時、久米さんと一緒にレコード大賞の司会もされていらっしゃいました。
ベストテンの最初の頃ですね。でも、桑田さんとか世良(公則/ツイスト)さんとか、ベストテンで1位になっている若い方が、会場に来ているのに受賞できないことがあって。なんだかみんなに悪いから、私は来年からやめようと思う、って久米さんに言ったら、僕もやめます、って(笑)