秋元康が新たなアイドルグループを誕生させるため、2017年8月にスタートしたオーディション番組「ラストアイドル」(テレビ朝日)。
暫定メンバー7人の中から毎週挑戦者が1人を指名、パフォーマンス審査で挑戦者が勝てばメンバーが入れ替わるシステム。
バトルを繰り返しながら、12月16日放送回で「ラストアイドル」の最終メンバー7人が決定、20日にデビューシングル「バンドワゴン」が発売された。
「秋元さん、うまいなと思ったのが、セカンドユニットのシステムなんです」
と、ある芸能記者は言う。入れ替えバトルで敗退した挑戦者たちから別に4つのユニットを誕生させ、「ラストアイドルファミリー」としての展開をスタートさせたのである。
「それぞれのグループの曲が、ラストアイドルのカップリング曲として収録されている。負けちゃったけど、この子がかわいかったのにというファンも取り逃がさないつくりなんです」(同・芸能記者)
番組は、1月から「2nd SEASON」と銘打ち新たなプロジェクトが始動した。
秋元康をはじめ、織田哲郎、小室哲哉、つんく♂、そして指原莉乃の5人がそれぞれ5つのグループをプロデュース。新たなバトルで1位となったグループが、セカンドシングルの表題曲を歌うというシステムも導入した。
アイドル事情に詳しい音楽評論家の宗像明将氏は、
「テレビ局やレコード会社の準備体制やプロデューサー制度など、ビジネス的には本当にうまいとしかいえない。ただ、アイドル文化的なスキームとしては、アイドルシーン全体が巻き込まれるという意味で、非常におそろしいです」
と、ラストアイドルの方法論を危惧する。
「秋元さんとテレビの力によって、普通に売れても数年かかることがあっという間にかなえられる。しかも、秋元さんやつんく♂さんがプロデュースしてくれる。兼任は認められていますが、様々なライブアイドル、ローカルアイドルが、ラストアイドルを目指す可能性も出てきます。これによって、ライブアイドルの市場が、ペンペン草も生えない焼野原になってしまう可能性は秘めているのではないかと思います」