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2010年2月の開店75周年記念週間に登場した、ジョー・ロヴァーノ(ts)率いるUs FIVE
2010年2月の開店75周年記念週間に登場した、ジョー・ロヴァーノ(ts)率いるUs FIVE

 ニューヨークには、毎日音楽を聴かせるフルタイムのクラブから、週末だけバンドをブッキングするレストランなどをあわせると、200以上のジャズを聴かせるヴェニューがある。

 その最高峰に君臨する老舗は、グリニッチ・ヴィレッジにある「ヴィレッジ・ヴァンガード」だろう。先代オーナーのマックス・ゴードンにより、1935年創業、1939年から現在地で営業を続けている。開店当初は、ジャズは、ポエトリー・リーディングや、フォーク・ミュージックと並ぶ演目の一つだったが、マックスが、現オーナーで、ブルーノート・レコードの創業社長のアルフレッド・ライオンの元妻、ロレインと再婚した1957年からは、フルタイムのジャズ・クラブとなる。その三角形の頂点にステージがある、独特の間取りは、アコースティック・ジャズに素晴らしい音場感を加味し、ソニー・ロリンズ(ts)、ビル・エヴァンス(p)、ジョン・コルトレーン(ts,ss)から、ウィントン・マルサリス(tp)、ブラッド・メルドー(p)まで、多くのアーティスト達が、この店を愛し,素晴らしいパフォーマンスをライヴ・アルバムとして遺してきた。

 壁には、この店に去来したアーティスト達の写真が飾られていて、ジャズの精霊達に見守られているようだ。スロー・バラッドの合間ではときおり、床下を行き交う地下鉄の音が漏れ聞こえるのも、ご愛敬だ。50年近く出演を続けているヴェテラン、中堅、若手が絶妙のバランスで登場するプログラムは、この店の最大の魅力であり、いつの時代も、ジャズの現在と、過去、未来を俯瞰することが出来る。

■The Village Vanguard (ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード)
178 7th Avenue South (11th Street)
New York, NY 10014
http://www.villagevanguard.net/
tel. 212.255-4037(要予約)
8:00PM~1:00AM(~2:00PM、金、土)ライヴは9:00PM、11:00PMの2セット、(平日)+12:30AMの3セット(金、土)