「歌舞伎界に新しい風を吹き込むのは、自分の役割だと思っています」
【表をみる】2018年を彩るのは?中村隼人など注目の100人はこちら!
歌舞伎界の若手プリンスとして、中村隼人(24)は女性から絶大な人気を誇る。端正な顔立ちから“歌舞伎界一のイケメン”と評されることも多く、ドラマや料理番組など、歌舞伎以外の世界にも活動の幅を広げる。昨年は東京では2年ぶりの再演となるスーパー歌舞伎II「ワンピース」で、一人三役を演じたことも大きな注目を集めた。
「『ワンピース』は常に危険と隣り合わせの舞台。アクロバティックなシーンが多く、とにかくスリリングな経験続きでした。芝居の立ち回りで、キャラクターの個性や動きをどう見せるか、考え抜いた日々でしたね」
漫画の原作ファンからも強く支持された同作。公演中に主演・演出を務める市川猿之助が事故で休業することになった。急きょ尾上右近が代役を演じたが、客足は途絶えず好評のうちに千穐楽を迎えた。
「僕にとって猿之助さんは、最も影響を与えてくれた憧れの人。絶対的な存在である猿之助さんの不在によって、みんなで団結して乗り切ろうと結束力が高まった。成長できる機会にもなりました」
昨年は、歌舞伎界では珍しい、SNS戦略を打ち出した。中村は50年目を迎えた国立劇場の「6月歌舞伎鑑賞教室」で解説を担当。公演中に舞台を撮影する時間を設けた。写真は「#歌舞伎みたよ」のタグをつけてSNSに投稿するよう促して、予想以上の反響が得られたという。
「土日当日券は完売が続出。特に若いお客様に喜んでいただけた。伝統を重んじる世界ではありますが、時に慣習を崩すこともしないと、新しい風が入ってこないと痛感しました。歌舞伎以外の場でもいろんな経験をさせていただいている自分が、こうした役割を担っていかねばと思います」
張り詰めた日々の支えとなるのが、息抜きであり、趣味でもある料理。
「好きな物を、好きなだけ、自分のために作るのが好き。最高の幸せです」
得意は中華全般。最近は、ジェノベーゼパスタのソース作りを研究中だとか。
「おいしさを追求する過程が好き。休日は、大親友の俳優・神木隆之介君と、ボウリングや卓球に行って遊ぶことも多いです」
2018年は、7年目の出演となる「新春浅草歌舞伎」(1月26日まで)で幕を開ける。8月には人気漫画をモデルにした新作歌舞伎「NARUTO─ナルト─」にも出演予定。「ワンピース」に続く注目作だ。
「今は自分の“型”を作る時期。難題にぶつかることも多いですが、一人でも多くの人に楽しんでもらえるような役者を目指して、一歩ずつ取り組んでいきたい」
(構成/本誌・松岡かすみ)
※週刊朝日 2018年1月19日号