ハナ/2014年、青森県生まれ。毛色が明るく、額のMの字が濃いキジトラ。コトラを母に、リンゴ農園で5匹の兄妹として育つ。17年公開の映画「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き」では、シロツメクサの野原を真っ先に駆けおりてくる姿がかわいいと評判に。岩合さんのエッセー『コトラ、母になる─津軽のネコの四季物語』や、写真集・写真展「ふるさとのねこ」にも登場している。撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
ハナ/2014年、青森県生まれ。毛色が明るく、額のMの字が濃いキジトラ。コトラを母に、リンゴ農園で5匹の兄妹として育つ。17年公開の映画「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き」では、シロツメクサの野原を真っ先に駆けおりてくる姿がかわいいと評判に。岩合さんのエッセー『コトラ、母になる─津軽のネコの四季物語』や、写真集・写真展「ふるさとのねこ」にも登場している。撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
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ハナ 撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
ハナ 撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office

 1922年の創刊以来、初となるを表紙にした「週刊朝日」。表紙以外にもカレンダーや連載コラムにも猫が登場するなど、猫づくしだ。

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 表紙を飾ったハナは、津軽のリンゴ農園に暮らすコトラの子として、2014年の春に生まれた。

「5匹いた子猫のうち、いちばん人懐こいのがハナちゃんでした」

 そう語るのは、テレビ番組で猫たちの四季を撮影するために、コトラ一家に密着していた動物写真家の岩合光昭さん。表紙の写真が撮られたのは、生後8カ月の頃だ。

「目の前でごろんごろんするのは、ハナちゃんお得意の仕草。冷たい雪の上ではやらないだろうと思ったのですが、僕の気持ちを読んだかのように転がってくれたので、急いでシャッターを切りました」

 足かけ1年4カ月に及んだ撮影の最終日。感慨深い思いで、右目でファインダーを覗きながら別の猫を撮っていた岩合さんの左目に、ハナが歩いてくる姿が映った。

「まっすぐに近づいてきたと思ったら、僕の頬をペロペロと舐めはじめたんです。そんなことは初めてだったので、僕も感極まって、ぽろっと涙をこぼしてしまいました。あれはハナちゃんからの別れの挨拶だったのかもしれません」

 この夏、岩合さんが3年ぶりに津軽を再訪すると、ハナはお母さんになっていた。人の気持ちに寄り添うやさしい性格は、子猫たちに受け継がれていたそうだ。(本誌・伏見美雪)

週刊朝日 2017年12月29日号