安倍晋三首相 (c)朝日新聞社
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ケネディ米駐日大使(当時)のリニア視察に立ち会うJR東海の葛西名誉会長 (c)朝日新聞社
ケネディ米駐日大使(当時)のリニア視察に立ち会うJR東海の葛西名誉会長 (c)朝日新聞社

 リニア中央新幹線をめぐる不正入札事件。東京地検特捜部は18日、公正取引委員会と共同で大手ゼネコンの鹿島と清水建設に家宅捜索に入った。特捜部は既に大林組の本社を偽計業務妨害の疑いでメスを入れているが、捜査の範囲を拡大し、実態解明を進め、事態は緊迫している。

【写真】リニア視察に立ち会うJR東海の葛西名誉会長

 大林組といえば、会長の大林剛郎氏は安倍首相と親交があり、11月19日に東京都内のホテルで行われた大林会長の親族の披露宴には、安倍首相も来賓として出席していた。

 また発注側のJR東海といえば、安倍首相の後見人で財界ブレーンとして知られ、第1次安倍政権で教育再生会議のメンバーを務めた葛西敬之氏が代表取締役名誉会長を務める企業だ。

 この少し前には、東京地検特捜部はスーパーコンピューター開発会社「ペジーコンピューティング」社長の斉藤元章容疑者らを国の助成金を不正に受け取った詐欺容疑で逮捕した。

 この事件は、安倍首相に食い込み、『総理』(幻冬舎)の著書がある元TBS記者の山口敬之氏がペジー社の顧問を務めていたことで大きく注目されている。東京都心の超高級ホテルの住居棟にあった山口氏の事務所の家賃をペジー社が負担。また山口氏は斉藤容疑者が設立した財団の代表理事にも就任するなどズブズブの関係だった。

 一連の特捜部の動きの意味は何なのか。元東京地検検事の郷原信郎弁護士がこう語る。

「リニアの件もスパコンの件も、その舞台となったJR東海、経済産業省なども捜査のターゲットに含まれる可能性があります。2010年に村木厚子元厚労事務次官の事件で大阪地検の証拠改ざんが発覚して以来、目立った成果のなかった特捜検察ですが、大きな利権構造に久々に切り込んだ点は注目すべきです。リニアの件については、偽計業務妨害罪での起訴のハードルは高く、相手が大手ゼネコンだけに捜査の展開は容易ではないと思えますが、今回の家宅捜索を入り口に大きな利権構造の全体像に迫ろうとする姿勢に期待したいと思います」

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事件の構図を元経産官僚の古賀茂明氏が解説