チャック・ベリー・スタイルのギターも交えたロックンロールの「ワンゴー」や、ブギ・ロック・ナンバーの「ジャッカル」に続いて、アルバムを締めくくるのはフォーク・ロック調の「散歩」だ。カンブリア、デヴォン、ジュラ紀と地球の古生代から宇宙へ、どこまでも歩いていこうと歌われる。
甲本のめりはりの利いた歌唱表現は説得力を増し、バラエティーに富んだ音楽展開からは表現の幅の広さがうかがえる。真島のギター演奏もリフやリードに個性的な持ち味を発揮している。ベースの小林勝、ドラムの桐田勝治のリズム・コンビも頑丈なだけでなく、ニュアンスに富んだ演奏を披露している。
スピーディーでアグレッシヴ、ゴリ押しのロックンロールだけでなく、幅広い音楽展開を見せた本作には力みがなく、余裕を感じさせる。それはバンドとしてのスケールの大きさを物語っている。作品、歌唱、演奏、サウンドすべてに個性を持つワン&オンリーとしての存在を、より印象づける作品だ。(音楽評論家・小倉エージ)
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