かつて高身長、高収入、高学歴の「3高」を求めていた女性の結婚条件のハードルが、ずいぶんと下がっているらしい。暴力をしない、借金をしない、浮気をしない「3NO」。当たり前のことだと世間は言うけれど、いやいや案外シビアな要件のようで、納得する声も聞こえてくる。“リスク”を選ばないイマドキ女子の本音に迫る。
東京・渋谷のとあるレストランで男女4組がテーブルにつき、合コンがスタートした。
「好きなタイプはどんな男なの?」
20代後半の女性は迷うことなく言った。
「浮気を絶対しない人。暴力を振るわないことも当然。それにギャンブルにのめり込まない人」
女性一同、顔を見合わせながら深くうなずく。
「いやいや、そうじゃなくて、芸能人で言えばどんなタイプ?」
男性陣の質問に、「うーん」と首をかしげ、「それはちょっと……」。
「……」。男性陣は苦笑いを浮かべるばかり。にぎやかなレストランの一角に、静寂が漂った。
この女性の大学時代の同期はすでに結婚し、子供も2人、3人といる。現在交際相手はいないが、知り合った男性とは結婚を意識する、という。
「収入は多いほうがいいのでしょうが、こんな当たり前の条件を満たさない男性とは結婚できないですね。そんなことで家庭が脅かされるのでは、心の平穏が保てません」
バブル期を経た20年ほど前まで、高収入、高学歴、高身長の「3高」こそ結婚相手として最良の条件だともてはやされた。しかし、その後の経済の停滞、若者の働き方の変化などで、結婚相手に高望みをしないという傾向に変わってきた。そして今、新たな3要素が世の女性の間で求められている。「3NO」だ。
婚活支援サービスを展開する「パートナーエージェント」が今年2月、25歳から34歳の独身女性約2千人を対象に、「結婚相手に求める条件」をテーマにアンケートを実施。そこで上位に入ってきたのが「暴力をしない」「借金をしない」「浮気をしない」の、三つの「しない(NO)」だった。