それに向けた発議の時期の日程調整を粛々と進めている状況だ。

 安倍首相の企みはそれだけではない。前出の官邸関係者はこう言う。

「18年中の新元号発表など国民受けのいい天皇・皇室を大いに政治利用する算段です。今井尚哉筆頭秘書官が密使として訪中を繰り返しており、18年中の安倍首相の訪中と、嫌がっている習近平国家主席の訪日実現に全力を挙げています。慰安婦や徴用工問題でギクシャクしている日韓関係も立て直したい。親北と警戒していた文在寅大統領だが、電話協議を重ね、安倍首相は『馬が合う』と言っている。12月中の日中韓首脳会談とは別に文氏単独訪日も具体化しそうで、その際は公式訪問の形で天皇との宮中晩さん会を行えるよう配慮する算段です」

 また、首相は消費税増税に伴う増収の使途変更を選挙戦で繰り返し強調したものの、実態は違う。

「安倍さんは内心、増税は必要ないと思っている。その延長線上で日銀総裁任期切れを来年4月に迎え、新総裁に森信親金融庁長官らの起用が有力視されていたが、一転、黒田東彦総裁の異例の続投を官邸は内定したようだ。5年の任期を合わせて10年間の長期の日銀総裁となり、大規模金融緩和『黒田バズーカ』リフレ政策続行ということになる」(政府筋)
 
 635億円かけて総選挙しても、政治はもとの木阿弥か……。(本誌 村上新太郎)

週刊朝日 2017年11月3日号より加筆

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