大学の入学者数(国公私立計)の将来予測(週刊朝日 2017年10月27日号より)
大学の入学者数(国公私立計)の将来予測(週刊朝日 2017年10月27日号より)
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私立大学法人の寄付額(2014年)(週刊朝日 2017年10月27日号より)
私立大学法人の寄付額(2014年)(週刊朝日 2017年10月27日号より)

「18歳人口は40年には今の4分の3。大学も800から600ぐらいに200ぐらい減ることになる」

【図】私立大学法人の寄付額

「800がそれぞれ縮小する選択肢もある。18歳のみで考える限り、収容定員は減らさざるをえない」

 文部科学省が5月から始めた審議会では、こんな大学の将来像を巡る議論が続く。会合で示されたのが、地域別にみた入学者数の将来予測。今の定員規模を前提にすれば、2033年には各地とも定員割れ。北海道、東北、北陸、四国は70%台になる計算だ。

 特に生き残りを問われるのが、中小規模の私大。17年度の入学定員の規模別にみると、100人未満は計33校で定員2410人に対し、入学者2276人。充足率は94%になる。500人未満は定員割れ、500人超は100%超と鮮明に分かれる。

 大学取材を30年余り続け、『大学大倒産時代』などの著書がある教育ジャーナリスト、木村誠氏は言う。

「危機はまず地方から始まり、倒産が起こりえます。ただ、地方の高校生の数少ない選択肢がさらに減り、進学機会が奪われることは問題です。大都市では市場原理に基づく競争、地方では地域社会に真に必要な大学への公的な財政支援も辞さない。危機対応には、そんな二重基準があってよいと思います」

 産業だけでなく教育でも、地方は東京一極集中に苦しむ。そんな現状に歯止めをかけようと、18年度の東京23区内の私大の定員増を原則的に認めないことを、文科省が9月に告示した。

 全国知事会などが求めてきた対応だが、小池百合子東京都知事は「到底納得できない」との談話を発表。全国の123大学でつくる日本私立大学連盟も「定員増の規制は、新規分野の教育を実現することを禁止するに等しい影響をもたらす」との懸念を示した。大学改革を巡っては、地方と都市の利害対立が今後深まる恐れもある。

 定員規制とともに、政府は年間約3千億円超の私大への補助金改革も進める考えだ。財務省は「魅力に乏しい私大が少なからず存在するのでは」として、教育成果に応じて補助金の配分を変えることを検討中だ。多額の寄付を集められる私大はごく一部で、大半の大学は学生の納付金と補助金が頼り。私大は受験生からも政府からも選別される。

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