親の声を通じて子どもは言葉を学び、豊かな感性を育む──。4人の子どもが東大理IIIに合格した佐藤亮子さんは、受験のサポートだけでなく、絵本の読み聞かせについても“プロ級”だ。「3歳までに1万冊」を実践した経験がある。
「子どもの耳にはまず、きれいな日本語を入れたいと思いました。絵本は人間のいちばんいい部分を言葉で紡いでいます。そういうものに、人生の最初に触れさせたいという思いがありました」
佐藤さんは絵本の読み聞かせに込めた思いを語る。佐藤さんの4人の子どもは、全員が最難関医学部である東大理IIIに進学。母親である佐藤さんが大学受験まで徹底的にサポートしたことで知られるが、子育ての原点ともいえるのが「絵本の読み聞かせ」だ。
「長男を授かったとき、自分の希望する道に進めるよう、能力を最大限に伸ばしてあげたいと思いました。教員の経験もあるので、子どもたちの未来を開くのは、『教育』だと考えました」
その第一歩となった読み聞かせ。驚くべきは、佐藤さんが読んだ本の数だ。3歳までに1万冊を、4人の子どもに実践したのだ。
きっかけは、長男が生後6カ月のときに見学した公文式教室。そこで知ったのが、「うた200、読み聞かせ1万、賢い子」という幼児教育のスローガンだ。佐藤さんは、「3歳までに絵本を1万冊読み聞かせ、子どもと言葉を通じたコミュニケーションをとると、言葉の能力と感性が育つ」と聞いたという。
「『1万』の意味を考えてみると、人の才能を開花させるのに目安となる数字なのかもしれません。例えば、司法試験に合格するには1万時間の勉強が必要と聞いたこともあります」