再び、北朝鮮の弾道ミサイルが日本の上空を通過した。9月15日早朝、平壌の順安付近から弾道ミサイル1発を発射した。
飛行コースは8月29日に発射された弾道ミサイルとほぼ同じで、北海道上空を越えて襟裳岬の東約2200キロの太平洋上に落下した。最高高度は約770キロで飛行距離は約3700キロに及んだ。前回よりも1千キロほど延びており、平壌から約3400キロ離れたグアムは射程圏内だ。
発射したのは中距離弾道ミサイルの「火星12」とみられる。
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の李鍾元教授が解説する。
「前回は飛距離が足らなかったので、それを改善してグアムを攻撃できる能力があることを示したのでしょう。同時に国連制裁にも屈しないという態度を見せながら、前回とほぼ同じ飛行ルートで発射したのは、米国を正面から刺激することを避けたという印象です」
11日の国連制裁決議では石炭や鉄鉱石、繊維製品など北朝鮮の輸出産業の9割を禁輸の対象とする厳しい措置を取った。
今回の発射を受けて、石油の全面禁輸など制裁をさらに強化する可能性はあるのか。
「核実験には敏感でも、ミサイル発射に反応が鈍い中ロが乗るかどうか」(李教授)
今後も北朝鮮は“挑発”をくり返すと思われるが、コリア・レポート編集長の辺真一氏はこう予測する。
「大陸間弾道ミサイル(ICBM)の『火星14』を発射してグアム上空を飛び越えるか、太平洋に向けて発射して米西海岸近くの公海に落とすかもしれない」
辺氏によると、意外な対抗策として、米国に対する「サイバー攻撃」も考えられるという。国の中枢機関や社会インフラのダメージを狙うばかりではなく、資金調達も目的とされる。