妻:私にはすごくやさしいんです。だから仕事で接する人たちにも、もっとやさしくしてほしい。ビジネスでは厳しいのがジャパニーズ・スタイルなのかしら。

夫:僕からは何もないな。

妻:あなたは何事もマイウェイで進めちゃうから何もないでしょう。お葬式で「マイウェイ」をかけてあげたいくらいだわ(笑)。

夫:でも、ごはんを食べた後、食器を洗うのは僕ですからね。

妻:そんなことない……(笑)。アメリカでは家事は半分半分が普通ですから。

夫:子育てもしましたよ。

妻:それは喜んでやっていました。孫育てもしました。次女の子供は双子の男の子が2組。1年半しか離れていないから大変でした。

夫:今はそれぞれペンシルベニア大学ウォートン校、カーネギーメロン大学、あとの2人は南カリフォルニア大学の学生です。

妻:長女の娘は山野学苑の後継ぎなので、英語だけでなく日本語もできるように青山学院初等部に通っています。

夫:僕は東京の日本橋の生まれです。4歳ぐらいのとき、水天宮のさい銭箱に鳥もちを付けた棒を突っ込んで、そのお金で山盛りのバナナを買いました。家の屋根裏で食べていたら見つかって、ものすごく怒られた記憶があります。今でも水天宮の前を通ると車をとめてもらって1万円をさい銭箱に入れています。

妻:そのときと変わらず、今もやんちゃなまま。とても81歳とは思えません。生きている間に何かやりたいというエネルギーにあふれています。高熱が出ても美容のショーをやっていたお母さんにそっくり。夢があるのはいいけれど、体はもう若くない。でも、「無理しないで」と言うと、もっと無理をするんですよ。

夫:人生をやり直すなら、また同じ人と結婚したいね。美容の仕事で女性に囲まれた僕がそう思うんですから。やはりハートでしょうね。人生のいいとき悪いときを共に乗り越えていく。僕は心臓の病気もしたし、稼ぎが少ない時期もありました。いろいろな面でダイアンに助けてもらいました。健康はお金で買えませんから、今後はお互いにかばい合っていきたいですね。

週刊朝日 2017年9月15日号より抜粋