
東京電力福島第一原発事故から6年余り。7回目の夏を迎えた今も人の姿が消えたままの福島県の帰還困難区域を上空から撮影した。
集合住宅の2階まで伸びる雑草、緑の海となった田んぼに取り残された車、子供たちの遊ぶ声が消えた校庭――。人の姿が消えた福島の町では、手つかずの自然が生活の痕跡をのみ込み、辺りを緑一色に染めていた。
見渡す限り田んぼが広がっていた双葉町の沿岸部。津波が押し寄せた跡には、背丈ほどに成長した雑草が風になびいていた。この場所は除染廃棄物の中間貯蔵施設の建設予定地。ドローンを飛ばすと、ぽつんと取り残された車の屋根が見えた。
「ガレキが続く場所に、あの車はありました。洗濯物が外に干されたままの家があったり、犬や猫に遭遇したり。ついさっきまで住民が生活していた様子がそこにはありました」と、原発事故直後の2011年4月に同町を取材した朝日新聞の相場郁朗カメラマンは語る。車は、帰還困難区域であることもあり、6年が経った今も同じ場所に残ったのではないかと同町役場は言う。
手つかずの自然と、いまだ取り戻せない故郷での生活。同町で生まれ育った男性は「思い出はいっぱいあるけど、今は戻ることは考えられない」と話す。7回目の夏が静かに過ぎていく。
※週刊朝日 2017年9月8日号
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