守安功社長は記者会見で、「クラウドソーシングや一般投稿は活用しない」と述べた。再開以前は「編集部制作記事」「クラウドソーシングのライターが執筆した記事」「一般読者が投稿した記事」の三つが混在していた。このことがキュレーションメディアと呼ばれるゆえんでもあったが、再開以降は基本的に小学館が編集制作を行うシンプルな「メディア」になるということだ。
小学館にとっては、ネットで若い女性に絶大な影響力があるMERYのブランドを利用してネットメディア事業を推進できるというメリットがある。DeNAにとっても、昨年末に最も批判された記事制作の部分を小学館に任せられることで、運営面に注力できる。「紙」を運営する会社と「ウェブ」を運営する会社の良い面を生かせる、シナジーの高い提携と言えそうだ。
一方で、DeNAは再開以前の10メディアが起こした盗用問題をはじめとするトラブルを完全に解決できてはいない。守安社長は「権利者への対応は今後も続けていく」と語ったが、まだまだ火種が消えたわけではない。MERY復活後の同社のメディア事業にはより厳しい目が注がれることになるだろう。
※週刊朝日 2017年9月1日号