林:川谷さん、ふつうのアーティストとちょっと違いますよね。今のアーティストって世間的に丸くなってる人が多いじゃないですか。
川谷:もうとんがるしかないじゃないですか。というか、何か発信するとそういうつもりじゃなくても、とんがってるみたいになっちゃって。
林:近しい人には「川谷さんを理解するのって大変」とか言われます?
川谷:言われますね。
林:川谷さんは長崎ですよね。ずっとピアノを習ってたんですか。
川谷:まったく。音楽を始めたのは大学で軽音部に入ってからなんで。
林:東京農工大ですね。将来どうしようと思ってたんですか。
川谷:なんとなく東京に行きたくて。私立は高いから、国立なら東大か東京工業大か東京農工大かなと。僕、理系なんで。偏差値的にいって東大とか東工大はちょっと難しそうと思って、東京農工大にしました。
林:何を専攻してたんですか。
川谷:応用分子化学。
林:な、なんですか、それ。
川谷:ザックリ化学なんですけど、大学院に入ってからはセラミックの研究をしてました。
林:国立の工業大学って、バンドなんか盛んじゃない気がしますけど。
川谷:でも、軽音部とかジャズ研究会とかいろいろありました。「けいおん!」というアニメがはやってた影響でバンドやってる人が多くて。
林:ギターはすぐ弾けたんですか。
川谷:まったく。何となくずっとやってるという感じでした。僕、ギタリストじゃないですからね。
林:大学で始めたindigo la Endはすぐ有名になって?
川谷:いや、3年ぐらいは特に何もなくて。ゲスの極み乙女。は、わりとすぐポコンと売れて、テレビに出始めると昔の友達から連絡が来るようになりました。それまでは「あいつ、落ちぶれたな」と思われてたんです。僕、大学院を中退したんですが、それが逆によかったなと。