テレビから毎日、流れてくる豊田真由子衆院議員のダミ声を聞き、ザワついている女性が案外、多い。高嶋ちさ子、橋本マナミもぶちキレを自ら告白。日本全国「ち~が~う~だろ~!!」現象が……。言いたくないけど、家で、職場で、ぶちキレているときの自分、職場のあの人に似ているかも……。ドキッとしている女性たちの本音を探る。
* * *
「このハゲ~ッ!」で、ある意味おそろしいほど知名度をあげた豊田真由子議員。あの罵声を聞いて「すごいね」と苦笑する男たちにウソはない。
だが、女たちの「やだあ」にはウソも一部あるよう。
というか正確に言うと二つの意味がある。表向きは「やだあ、汚い言葉、聞きたくない」。本音は「やだあ、私も似たようなこと言ったかも(こんなにひどくないけど)」だ。
実際、豊田議員ほどの破壊力はないにしろ、スイッチがオンになったらもう止まらない。そんな“プチ豊田や”豊田予備軍“は世の中にあふれている。
横山ちえみさん(仮名・41歳)は、開業医の夫を持ち、傍目からは何不自由なく暮らしているように見える専業主婦。一人息子は小学4年生だが塾の成績が思うように伸びていない。
「ねえ、なんでこんな簡単な計算に時間がかかるのよ」「なんで一番上のクラスに上がれないのかな」
黙ったままの息子がふがいない。つい自分でもどうしたらいいのかわからないほど大きな声が出てしまう。
「ボーッとしてるんじゃないよ、このバカ! こんな下のクラスじゃ、あたしが笑われるんだよ、あたしが恥ずかしいんだよ!」
息子が泣きだしても、怒りを止めることはできない。私がこんなにつきっきりで勉強を見ているのに。私、こんなに頑張っているのに。私の管理体制に何の問題があるっていうの? ちえみさんが怒る度に息子は勉強机に向かわなくなっている。
斉田奈津子さん(仮名・42歳)はメーカー勤務。もともと短気な奈津子さんは、7歳年下の自分の部下の“時間ギリギリグセ”が許せない。何をやるにも時間ギリギリのくせに役員に愛嬌を振りまいて、役員からの評価が高いところも腹が立つ。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。最近期限ギリギリに出される精算伝票にカッとなり叱責してしまうことが多い。叱責したあと、必ずめまいが起きる。自分では「イラつきやフラつきが多いのは、更年期で女性ホルモンが減っているせいもある」と思っているが、産婦人科医の早川智さんは言う。