「更年期に性格が先鋭化する女性は少なくありませんが、必ずしもホルモンバランスのくずれだけが原因ではないと思います。男女ともにですが、もともと性格に偏りがある方がある程度の地位についたとき、『子供や部下に上から目線で言うことを聞かせたい。なのに、うまくいかない』という場合に大声や暴力に訴えるのではないでしょうか。ホルモン補充療法は骨粗鬆症や更年期障害の血管運動神経症状に有効ですが、精神神経症状には無効です。あまりにも感情が抑えられず、日常生活にも支障をきたすという方には精神科や心療内科、臨床心理士に相談されることを勧めたいと思います」

 その一方で、

「そもそも40代前半のデキる女性は“キレやすく激高しやすい脳”ナンバーワンなんですよ」

 と語るのは脳科学コメンテーターで『女は覚悟を決めなさい』(ポプラ社)などの著書がある黒川伊保子さんだ。

「理由は、40代は脳が最もすばやく動く年代だからです。だから周囲が怠慢でバカに見えてしまうのです」

 脳は“経験をため込んで、とっさの判断に使う”ので、経験を重ねるほど、とっさの判断が速くなる。40代に入ると男女とも、判断の速さがピークに達する(判断の速さに関してはこのあと衰えることはない)。

 50代に入ると、判断力が速くても言葉が出にくくなるため、言葉を紡ぐ速度が落ち、懐が深く余裕があるように見えてくるのだが、40代女性はこの速さがまだ衰えていないために、判断力の速さ+言葉の速さが半端ではないのだ。

 だが男性脳は女性脳より言葉を紡ぐのが遅い。なので男性脳にとっては40代のキャリア女性は“息もつかずにまくしたてる”“何を言いたいのかわからない”感じがして、ストレスになることが多い。そして女性脳側から見れば、男性は“ちゃんと返事をしない”“こっちの言ったことを理解していない”ように見える。

「男性部下にしてみたら、女性上司が“いつもイライラして、ちゃんと説明しないくせにいきなりキレる”ように見えるわけですが、女性上司にしてみたら、男性部下が“不注意で、怠慢で、バカな上に、謝ることもできない”ように見えるわけです。このため男性部下は女性上司を“厄介な女”としてテキトーにあしらうようになり、女性上司は男性部下を“言ったことをできもしないくせにテキトーにあしらわれた”と感じ、激高して止まらなくなるという悪循環に陥るわけです。優秀な40代女性ほど、この罠には陥りやすいので、気をつけてくださいね」

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