萩生田氏は文書の内容を全否定し、文科省側も「不正確な内容」(松尾泰樹官房審議官)と火消しに躍起になったが、福山哲郎・参院議員が民進党の会合で批判した。
「官房副長官が話をしていないのに、あたかも文科省の職員が作りごとのようにメモを作成することなんてあり得ない」
文科省の松尾審議官はこの萩生田発言録はあくまで「個人メモ」であり、誤って共有フォルダーに入れてしまったもので行政文書ではないと強調した。
だが、公文書管理法に詳しい獨協大学名誉教授の右崎正博氏がこう指摘する。
「誤ったにしろ、結果的に共有したものであり行政文書であると考えるべき。個人的な備忘録の範囲を超えている」
当初は萩生田氏が疑われた特区の条件案に「広域的に」「限り」などの文言を付け加え、加計学園しか応募できなくした“犯人”も謎のままだ。
内閣府から文科省に送られたメールには〈指示は藤原(豊)審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです〉と書かれていたが、萩生田氏は否定。安倍首相は「山本(幸三・地方創生)担当相の判断だった」「最終的に政府全体で決定した」などと答弁しているが、それならなぜ萩生田氏の名前がメールに残されていたのか釈然としない。
「メールの発信者は記憶が曖昧で、事実関係を確認しないまま不正確なメールを発信してしまった」(内閣府の塩見英之参事官)
にわかに信じ難い説明だが、杉尾秀哉・参院議員(民進党)は強く批判した。
「証拠となる文書も出さずに、記憶にないなどとのらりくらりと言って責任逃ればかりしている。文科省、内閣府は否定しているが、(開学時期など)全部、前川さんの言うとおりになっているではないか」
特区認定をめぐって〈総理のご意向〉に従い、動き回った形跡のある萩生田氏と山本氏。そして、官邸の要として霞が関を牛耳る菅義偉官房長官。野党の要求する臨時国会の開催にも、国会の閉会中審査にも与党が応じないため、“官邸の3悪人”の間でどんなやりとりがあったのかはブラックボックスのままだ。
そればかりか、8月上旬にも前倒しされて行われる可能性がある「内閣改造」で、すべてを“リセット”する計画もあるという。
「今度の改造で萩生田氏の扱いをどうするか、『萩生田切り』で人身御供にするかどうか協議されているし、改造前に萩生田氏だけ更迭する案もある。一方で、菅氏、麻生氏、二階氏など主要幹部は続投と言われている」(官邸関係者)
真実が明かされる日は来るのだろうか。(本誌・小泉耕平、亀井洋志、村上新太郎)
※週刊朝日 2017年7月7日号