加計学園の獣医学部新設を巡る経緯(週刊朝日 2017年7月7日号より)
加計学園の獣医学部新設を巡る経緯(週刊朝日 2017年7月7日号より)
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 支持率が急降下した安倍政権。文科省からの「内部告発」や前川喜平前文科事務次官の新証言で加計疑惑の“真犯人”が浮かび上がり、森友捜査でも再び、籠池砲が……。自民党は必死の“安倍隠し”で都議選に臨むが、これが「一強」の終わりの始まりとなるのか──。

「豊洲にするか何にするか、決めきらないのが一番困るんだ!」

 東京都議選の告示日だった6月23日、引退した“都議会のドン”こと内田茂氏の地元である千代田区内の路上で、麻生太郎財務相が声を張り上げて「小池都政」を批判した。

 麻生氏だけでなく、自民党はこの日、二階俊博幹事長、高村正彦副総裁、石破茂元幹事長など党幹部や有力議員を惜しげもなく投入。メディアを使った空中戦を得意とする都民ファーストの会に対抗するため、“総力戦”で臨む構えを見せた。

 だが、そこに安倍晋三首相の姿はない。23日は沖縄を訪問していたのだが、翌24日も稼働はなし。告示前も一度も応援演説に入っていないばかりか、今後の予定も白紙だという。

 自民党幹部がこう語る。

「総裁遊説はまだ1カ所も決まっていません。選挙戦が始まったというのに、異例のこと。安倍首相は体調不良で自宅、病院以外の場所で主治医から治療を受けているとされるので、できても1カ所くらいかもしれない。それもやるかどうか……。民主党政権末期も当時の野田佳彦首相が遊説中、『野田はノー』と書いたプラカードで選挙カー周辺を埋め尽くされた。二の舞いにならないか懸念しています」

 ここにきて、安倍政権は猛烈な逆風に見舞われている。6月22日には自民党の豊田真由子衆院議員(同日、離党届を提出)が秘書に対して暴力を振るい、「このハゲー!!」などと罵声を浴びせていたことが報じられ、録音された音声も公開された。前出の党幹部は頭を抱える。

「あれはインパクトがありすぎた。天国から地獄へ落ちた心境。1人区は都ファと互角だったのに、一つもとれないかもしれない。大惨敗もあり得る。戦略の練り直しです」

 そして、じわじわとボディーブローのように効いているのが、次々と新たな文書や証言が飛び出す加計学園問題だ。

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