「熟年離婚も年々増える一方で、寂しさを抱える高齢男性は多い。入籍したことを子どもに告げず、死亡後に発覚するケースも珍しくなく、結婚相手と子どもとの間で遺産相続でもめているという相談もあります」

 超高齢化社会の到来で、年々活況を呈しているシニア婚活市場だが、多くの結婚相談所では、開示される登録者の個人データ上で、年収や学歴、親の存命や子どもの有無(同居か別居かも含む)のほか、土地や預貯金、株などの資産の種類や健康状態についても把握できる。つまり、“優良物件”を選んで、すすめることができるというわけだ。

 さらに、シニア婚活は、カップル成立までの期間が短いことも特徴だ。婚活事情に詳しい夫婦問題研究家の岡野あつこさんは言う。

「老い先を考えて、早めに手を打とうとする登録者が多いんです。ダメならすぐ次と見切りも早く、若い人と比べてピッチが速いですよ」

 このように、後妻業をたくらむ女性にとっては都合のいい環境が整っているのだ。筧被告が次々と相手を見つけられたのにも合点がいく。

 岡野さんは、高齢男性のガードが緩いことも女性につけ込まれる要因だと指摘する。

「女性が近づいてきたら手放しに浮かれて、のめり込んでしまう男性は多いんです。明らかに資産狙いのケースでは、結婚相談所が止めに入る場合もあります」

 ただ、「おねだり系」の女性は口がうまいという。「デートに行けなくなった。子どもが事故を起こしたの」と言って心配させたり、「(お金のことは)前の夫に相談する」と言って援助を申し出るように仕向けたり……。

 コラムニストの辛酸なめ子さんによると、シニア男性に効く殺し文句は「お世話してあげる」「面倒をみてあげるから」だという。

「私の親世代の男性は、一人暮らしに慣れておらず、不安を抱えているのです。実際に父親が狙われたという友人も知っています。女性の目的は生活費なので、二世帯住宅を建てさせられて、別に暮らすなんてことも。隣にいてくれるだけ後妻業よりトロフィーワイフのほうがまだ幸せですよね」

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