2012年ロンドン五輪の金メダルから5年。世界ボクシング協会(WBA)ミドル級2位の村田諒太(31)=帝拳=が5月20日、初の世界戦に挑む。相手は暫定王者のアッサン・エンダム(33)=仏。勝てば日本人五輪メダリストとして史上初の快挙となる。その意気込みを本誌に語ってくれた。
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──世界戦直前、コンディションはいかがですか。
4月中旬ぐらいから、ボクシング自体の調子が良くなっている。メキシコと米国から呼んだボクサーとのスパーリングも試合前としては過去最高の100ラウンドを超え、いい状態で上がってきた。試合に勝ってベルトを巻き、スーパースターへの階段を上っていきたい。夢のラスベガスでメインイベントを張りたい。今度の試合は僕が世界的なビッグネームになるためのカギになると思う。
──金メダル獲得後、自分の実像とマスコミがつくり上げた虚像の狭間で違和感を覚えたそうですね。
品もないヘタレで、あほで気の弱い人間という自分は今も変わらないです。でも、いろんなことを経験して弱かったメンタル含め成長してきている。人間的なところでも少しは大人になったと感じます。だからといって、世間のイメージと自分の中の自己評価の乖離(かいり)は依然ありますね。プロ転向後のデビュー戦で東洋太平洋チャンピオンに派手に勝って「村田はすごいぞ」ともて囃されましたが、僕の中でまだプロとして戦う準備ができてない段階での120点評価だった。それ以降は(世間の目は)そこから減点されていくしかないわけですよ。だから、悪い試合があったりすると、自分の中では成長しているのに、みんなの評価は減点方式で120点から減点されていくつらさは最初はありました。でも今は、いい具合に実力と評価がマッチしてきているのかなと感じます。いいタイミングでの世界戦になったと思います。
──世界戦決定時の記者会見(4月)で「辞めなくてよかった」と発言されましたが、その真意は。