すでに5人が立候補を表明し、激戦模様の渋谷区(定数2)には、元テレビ朝日アナウンサーの龍円愛梨氏(40)が都ファの公認を得て出馬する。
龍円氏は2011年にテレ朝を退職後、米国で貿易商の男性と事実婚をして長男を出産。長男にはダウン症が判明した。15年に事実婚を解消して帰国したとき、米国では社会的マイノリティーへのサポート体制が充実していたことを痛感したという。政策の立案に関わりたいと考えて小池氏の政治塾「希望の塾」に参加し、立候補を決意した。
「シングルマザーですから、出馬表明まで悩みました。公の場に出れば、事実でないことが報道されることもあります。アナウンサー時代も、捏造された記事が週刊誌で報道され、つらい思いもしました。だからといって何もしないまま生きるのではなく、リスクがあっても子どものために社会を変えることに挑戦しようと思うようになりました」(龍円氏)
墨田区では、都ファが「希望の塾」塾生の美人刺客・成清梨沙子氏(27)を擁立。東大経済学部卒業後、あずさ監査法人に就職したが、選挙のために墨田区内に引っ越すという。現職は自民2、公明1だが、成清氏は脅威を与えている。
「どうして墨田区から出てくるのかさっぱりわからないが、女性候補の成清氏は抜けている。残り2議席を3人の現職が奪い合う戦い」(地元自民党関係者)
5月12日に墨田区で開かれた元テレビ朝日アナウンサーで、自民党現職都議の川松真一朗氏(36)の決起集会で本人を直撃した。
「大変厳しい選挙ですが、逆風の中を走り抜きたい」
都ファからは他にも「希望の塾」出身の新人候補が多数出馬する。
ただ、5月の大型連休が明けた時点でもまだ事務所や公式ホームページがなかったり、街頭演説や駅立ちを始めていなかったりする候補者も多い。今回、本誌が取材を申し込んだ複数の候補者は「党の許可がないと取材に応じられない」と言い、党事務所に取材を申し込んでも期日までに返事がなく、肉声を聞けなかった候補者もいた。7月2日の投開票まで、あとわずか1カ月半。個々の候補者をどうやって都民に浸透させていくのか、急ピッチの作業が必要になりそうだ。(本誌・小泉耕平、上田耕司、村上新太郎、西岡千史)
※ 201週刊朝日 7年5月26日号