都議選では、数々の選挙区で“因縁”まじりの激戦が予想される。
まず、注目されるのは引退する“ドン”こと内田茂都議(78)のお膝元である千代田区だ。
初当選以来、28年も都議として君臨してきた。ドンの後継として公募で自民党公認候補に選ばれたのは中村彩氏(27)。「都民ファーストの会」(以下、都ファ)の刺客、元警視総監・樋口建史氏の長男である樋口高顕氏(34)と定数1を争う。
“ドン”内田氏引退で劣勢かと思いきや、5月の大型連休後の世論調査では、「中村氏優勢」と報道されるまでに自民が回復基調だという。内田氏を直撃すると、上機嫌でこう答えた。
「いい候補者が見つかってよかった。(彼女は)都連と自民党千代田支部の10人で選びました。(人柄も)いいんじゃないですか」
中村氏は慶応大学大学院修了。日本取引所グループの東京証券取引所に4年間勤務した経歴を持つ。中村氏を知る関係者はこう話す。
「中村さんは学生時代、自民党の武見敬三参議院議員の選挙ボランティアとして働いていた。そのころから『将来は議員になりたい』と目を輝かせてました」
“仁義なき戦い”と言われているのは板橋区。定数5に対し現時点で8人が立候補する見込みだ。
板橋は自民党の下村博文都連会長のお膝元。今回、下村氏の元秘書3人が出馬を表明した。うち2人は自民党の現職都議の河野雄紀氏(47)と松田康将氏(40)。これに対して、昨年8月まで下村氏の公設秘書を3年半務めた平慶翔氏(29)が都ファから出馬表明したことから、因縁の戦いが勃発している。
平氏はサッカー日本代表の長友佑都と1月に“アモーレ婚”した女優の平愛梨の実弟で、自身も芸能事務所に所属した経歴があるイケメン。早朝から街頭演説していた松田都議はこう語る。
「元秘書3人とは言っても、河野さんと私は下村代議士と話をして出させていただいた。平君は代議士の了解を取って出馬するわけではないでしょう。私にもいっさい連絡はないです。私が秘書を辞める際、代わりに平君が入ったので、自分がまわっていた地域を彼に引き継ぎました。同じ地盤同士なので、大変厳しい戦いです」
同じ板橋区内の私鉄駅前には、民進党の現職都議・宮瀬英治氏(40)の姿が。通勤帰りの人たちに手渡していたビラには赤字で大きく「小池知事と共に都政大改革」と書かれ、小池氏と握手する写真が掲載されていた。蓮舫・民進党代表との写真はなく、小池氏の風を感じた。