女子フィギュアの浅田真央選手(26)が4月10日深夜、自身のブログで引退を発表した。2日後の会見では「やり残したことはない。全部出しきった」と晴れやかな表情で語った。最後は笑顔で、次の一歩を踏み出した真央。小さいころからの夢だった「五輪の金メダル」は実現できなかったが、誰からも愛される国民的なアイドルになった。
<突然ですが、私、浅田真央は、フィギュアスケート選手として終える決断を致しました>
ブログに「引退」という文字はなかった。この言葉は、ずっと本人を苦しめてきたのかもしれない。
会見では決断したのは2月ごろだったと説明した。最後の舞台となった昨年の全日本選手権でも、代名詞のトリプルアクセルに挑戦した。あれが最後だったならば、華やかに特別なセレモニーでもしてあげたかったと思った人も多いだろう。
12歳で全日本選手権に初出場し、これまでに6度優勝した。
「スケートを始めた小さいころは、いろんな技ができるようになっていくのが楽しかった」
2010年のバンクーバー五輪では銀メダルを獲得した。フリー演技後には、
「長かったけど、あっという間でした」
と絞り出すようにコメントした。
やり直しのきかない4分の本番にかける難しさ。フィギュアは美しくあることはもちろんだが、高難度の技も取り入れていかなければ得点は伸びない。真央は技術力に加え、愛らしさ、強さがにじみ出る表現力を兼ね備えていた。
「私のすべてがスケート人生だった」
こうはっきり口にする一方で、生まれ変わってもスケートをするのかという問いには「もし、もう一度人生があるのなら、スケートの道は行かないと思います」
と答えた。
14年のソチ五輪ではショートプログラムで16位と出遅れたが、諦めずにフリーで6位まで順位を上げ、世界から称賛された。「挫折の後の成功」。真央のスケートがこうだったからこそ、みんな熱心に応援した。
引退報道を受けて国民栄誉賞を、という声も上がっている。12年に国民栄誉賞を受賞しているレスリングの吉田沙保里は、
<真央ちゃんは本当に国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えた選手だと思います!>
とツイートした。