2016年4月、蝶々夫人の衣装を着た浅田真央 (c)朝日新聞社
2016年4月、蝶々夫人の衣装を着た浅田真央 (c)朝日新聞社
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 2014年のソチ五輪から浅田真央さんの衣装デザイナー兼スタイリストをしていた安野ともこさん(CORAZON)。引退会見を受け、「彼女の素晴らしさを伝えたい」と今回、特別に話をしてくれた。

【浅田真央の懐かしい場面をフォトギャラリーで】

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 真央さんの競技の衣装はソチ五輪からデザインしています。

 紫色が、真央さんのイメージ。水色にやさしいピンクがどこかに入っている紫色は、真央さんの持つ「清々しさとやさしさ」の雰囲気にぴったりです。

 復帰一年目の蝶々夫人の衣装をデザインしましたが、これは舞台が日本。日本の女性をモデルにした悲哀の物語です。外国の男性を待ち焦がれる強い女性のストーリーです。

 衣装も、着物を意識して作りましたが、後ろにつけた帯は、真央さんたっての希望です。当初、私は結び目のないものをデザインしていたのですが、真央さんが、「着物のスタイルをそのまま反映させたい。譲りたくない」と強く希望したので、そうなりました。

 競技の面から見ると帯はないほうがいい、とコーチたちは反対されていたようですが……。

 真央さんは、日本らしさ、日本の美しさを世界に発信したいと思ったのでしょう。

 紫系がいい、というのは真央さんの希望。

「ノクターン」の衣装もそうですが、真央さんは紫色の衣装がとても似合います。

 真央さんの内面から出るものが反映されているように感じます。真央さんの可憐で、お花のような、自然と一体化するようなイメージ。

 引退宣言をされたのは、ちょうど、桜が満開になり新緑のタイミング。凄くリンクしていたなと思います。引退会見でお召になられていた白は、原点に戻るという意味を込めていると思うので、とても素敵でした。

 真央さんが氷上で演技をしているのを見ていると菩薩のような顔がリンクするんです。とても神聖な姿だったなぁと。これだけ日本、世界中のたくさんの人を元気づけてきて素晴らしい存在であるのに、まったくそういうことを感じさせないナチュラルな笑顔。

 有名だからというおごりが全くないところは凄いと思います。ほんとうに、真央さんは、謙虚な方です。 

 (引退を知って)残念というよりは清々しくワクワクする気持ちが最初にたちました。

 よく決断されたな、と。なんとかやり遂げなくてはいけない、というところじゃなくて。

「すべて出しきった、もう悔いはない」という結論を出したところに、真央さんらしい潔さと、強さを感じました。

 これからどんな表現をされていくのかとても楽しみです。

素晴らしいセンスを持っていらっしゃる方なのでどんなものが出てくるのか、さらに期待します。

でも、お願いだから一度体を休めて。長い人生、また新たな花を咲かせるために。

(取材/本誌・大崎百紀)

※週刊朝日オンライン限定