漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「ゴロウ・デラックス」(TBS系 木曜24:58~)に出演したロバート・秋山竜次の“なりきり芸”を俎上に載せる。
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稲垣吾郎がMCを務め、一冊の本とその著者を紹介する番組に、お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次が登場した。今回取り上げられたのは、フリーペーパーの連載をまとめた『クリエイターズ・ファイルVol.01』。
秋山が様々なジャンルのクリエイターになりきってインタビューを受けるという、まさに紙上のコント芸。併せて動画も公開されてるんだけど、その憑依(ひょうい)っぷりはただごとじゃない。
トータル・ファッション・アドバイザー、YOKO FUCHIGAMI。ルックスは思いっきりコシノジュンコ感満点なのに、言ってることは「服でお尻を拭けないと思っている人は、一番お洒落から遠い存在なの」「私、産道は表参道だと思っているんですけれど」など無茶ばかり。
スローフード・アドバイザー、セレス・C・グロースは、美しい草花に囲まれて語る。「からだが本当に求めているなら、うんこだって美味しく感じる」
カリスマモデル・リシエルは、マタニティならすぐ脱いじゃう、やたらハワイでマラソン走っちゃうという、モデルあるあるが秀逸だ。そして、ただ秋山が脱いでるだけなのに見事な妊婦。なんにでもなじむ秋山の肉体、万能すぎる。ビバ固太り。
そして番組には、天才子役キャラクター、上杉みち君が登場。子役の放つあざとさ満点なんだけど、時おり宙を泳ぐ瞳。その空虚な目線は、子役が抱える闇の深さを浮き彫りにする。
ちなみに、みち君は劇団「えんきんほう」所属。遠近法の状況でしかお仕事できない(小さく見えない)し、バミリのテープが貼られた場所から動けないので、使いづらい。
最後は、稲垣と二人で『名犬パックスとまほうの森』という架空の絵本を朗読するみち君。「ぺぺーッ!(パパの意。ママはメメ)」と絶叫する狂気の子役っぷりに、番組カオス状態だ。
「ゴールデンじゃ無理(笑)」と稲垣は言ってたけど、コント番組がほとんど消滅した今こそやってほしい。いっそNHKでどうでしょう、「秋山竜次のクリエイターズ・仕事の流儀」。
※週刊朝日 2017年3月31日号