今月7日、漫画家の松本零士氏が北斎美術館で開かれた自身の作品をモチーフにした浮世絵の発表会に出席した。ファッションデザイナーのドン小西氏がそのファッションをチェック!
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この先生っていえば、いかにも画伯って感じの、ニットのイスラム帽のイメージしかなかったんだけどさ。こうして初めてじっくりファッションを見て驚いたね。なかなかいいんだよ。
スーツを着慣れているビジネスマンって一見オシャレだけど、カジュアルになるとオシャレ音痴が露呈することが多いだろ。でもこういう仕事の人は、スーツを隠れ蓑にできないもんな。ぜんぜんファッショナブルじゃないけどさ、試行錯誤を繰り返して自分のスタイルを見つけたんだね。個性的ないい感じのファッションになってるよ。
とくにいいのは、上半身。この日も、ブルーのカメラマンジャケットと赤いカーディガンの組み合わせが、我流ながらよくできてる。一方、下半身は微妙。敗因はチノパンだよ。過去の写真を見ると、この人のボトムはいつも無難にチノパンだけど、ここを思い切ってジーンズに変えてみてはいかがかね? グンとオシャレの幅が広がって、靴やメガネにも凝りたくなったりしてね。先生も今や79歳。でもさらにレベルを上げて、この先の限りない展開に期待してますよ。
※週刊朝日 2017年3月24日号