進学校が競い合う東大・京大の合格者数。ランキング上位の顔ぶれをたどると、かつての有名校が姿を消したり、無名校が浮上したり、変遷がわかる。近年は特に変化が激しく、新興校が台頭する一方で、名門校復活も相次ぐ。特に関東でも関西でも公立校の躍進や復権が目立つ。
こうした近年の変化には、高度経済成長期の70年代ごろとは正反対の要因もあるようだ。教育情報を提供する「大学通信」の安田賢治ゼネラルマネージャーは言う。
「進学に力を入れている都内の私立中高一貫校は、高校からは入学できない学校が多い。しかし、リーマン・ショックの影響もあり、中学から子どもを私立に通わせる経済的余裕のない家庭も多い。そういった家庭の生徒に、都立高が受け皿となった。最近では、早稲田や慶應の付属校よりも、都立の日比谷などを選ぶ生徒も増えています」
駿台予備学校進学情報センター長の石原賢一さんは受験生と接するなかで、最近の都立高生の意識に変化を感じているという。
「数年前まで、日比谷や西の高校1年生で東大が第1志望の生徒は、限られていました。今ではみんな東大を目標にしている。公立校の生徒は小学校や中学校で受験勉強の経験が少ないだけに、学力の伸びも大きい。合格者数増加は、都立高の先生の自信にもつながっているはずです」