東京大学、駒場キャンパス
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 昨年の東大推薦入試で合格した1期生は、どんな1年間を送ったのだろうか。工学部、法学部、教養学部の3人に語ってもらった。

 1期生の入学者77人のうち、69人が入る「推薦入試1期生」というLINEグループがある。推薦合格者の情報交換の場になっているという。

「昨年5月に1期生のパーティーがありました。LINEではシンポジウムやセミナー、研究室見学なども告知されます」

 こう話すのは、工学部の名幸瑛心さん。入学後、専門分野として推奨される講義のほか、好きな宮沢賢治の講義も受けたという。

「推薦入試組は入学時に学部・学科が決まり、進振り(進学振り分け)がありません。興味ある講義をとれていいですね。点数を気にせずに単位をとればいいため、テストでうらやましがられました(笑)。アドバイザー教員にサポートしてもらえ、期待も感じます」

 東大の一般入試は学部ごとではなく、文Iや理IIIなど科類ごとの募集。2年次の進振りで、学部・学科が決まる。定員があるため、成績上位から順に内定する。人気の高い学部・学科に進みたければ、入学後も厳しい競争があるが、推薦合格者だと1年からやりたい研究や勉強をできる。

 こうした環境を支えるのがアドバイザー教員だ。

「私が選んだ『領域3』は、5人の学生に2人のアドバイザー教員がつき、研究室を見学させてもらいました。頻繁に研究室に行き、すでに学会発表した学生もいます」

 法学部はアドバイザー教員が2人で、独自のLINEグループもあるという。法学部の寺尾昌人さんは「1年次から3~4年の講義を受講できるため、受講するかどうか、LINEグループが集まる相談会がありました。相談や情報交換のグループがあるのは心強いですね」と話す。

 進振りは入学後に自分の進路を見定められる利点もある。このため、初の推薦入試だった昨年度は、出願に二の足を踏んだ受験生もいた。ただ、「推薦入試だと学部・学科があらかじめ決まり、変更できない」というのは誤解だ。

 教養学部の藤村明日香さんは言う。

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