冬はダウンジャケットを着た人が増えるので、電車など人混みは避け、外出時はマスクをつけて (※写真はイメージ)
冬はダウンジャケットを着た人が増えるので、電車など人混みは避け、外出時はマスクをつけて (※写真はイメージ)
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 潜在患者数は、国内で数千人と推定される「過敏性肺炎」。細菌やウイルスが肺で増殖して炎症が起こる一般的な肺炎とは異なり、鳥やカビなどの抗原によるアレルギー性であることが特徴だ。咳(せき)が2週間以上続けば、過敏性肺炎の可能性がある。

 鳥アレルギーによる肺炎は、かつては、ハトやオウムを飼う人に発症する「鳥飼病」として報告されていた。その後、羽毛布団やダウンジャケットが身近となり、十数年前から東京医科歯科大が羽毛布団や羽毛製品に関わる症例の報告を始めたという。

 池袋大谷クリニック院長の大谷義夫医師も同大の研究メンバーのひとりだった。開業した現在も、宮崎教授らと連携して患者の診察にあたる。クリニックに通院する福田政代さん(76)は、わが子のようにかわいがるインコが原因だった。飼っていたのは、マメルリハという小型のインコ。親鳥が産む卵をふ化させては、10羽近くと暮らしていた。

 だが2年ほど前から咳が止まらなくなる。自宅はマンションの2階。わずかな距離の階段を上るたびに息を切らせた。診断の結果、肺線維症になりかけていた。処置が遅ければ、命に関わるところだったのだ。

「インコが大事か、命が大事か」

 大谷医師に迫られ、インコを手放し、羽毛製品も処分。症状はやや落ち着いたが、昨年の冬、布団の下にマットを敷いたとたん、ぶり返した。素材に羽毛が含まれていたのだ。

「冬はダウンジャケットを着た人が増えるので、電車など人混みは避け、外出時はマスクをつけて、と先生から厳しく注意を受けています」(福田さん)

 鳥による過敏性肺炎。これは花粉症と同じで、誰もがアレルギー反応を起こすわけではない。だが、抗原にさらされる時間が長い人は、気をつけたほうがいいかもしれない。

 最もリスクが高いのが、インコやオウムなど鳥を自宅で飼うことだ。羽やふんに含まれる抗原を24時間吸い込むことになるからだ。庭やベランダでの野鳥への餌づけや鳥の剥製にも要注意だ。

 自宅の裏に建てられたハトの飼育小屋が原因で、発症した人もいる。ハトレースの人気は高く、愛好者は全国でハトを飼育している。郊外では大型の飼育小屋もいまだ健在だ。

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