素朴な疑問を海の向こうに投げてみた。番組で紹介された米国の研究者は即座に否定。番組でコメントを出した日本の大学教授も<体にいいと思っていますけれども、正直オーバーだと思いましたよ>。
当時編集長だった山口一臣(POWER NEWS代表)はこう振り返る。
「その辺に転がっている事象を斜めに見る。これが当たって、世間を揺るがすニュースとなった」
清原和博、高知東生、ASKA……著名人が薬物絡みで摘発されるニュースはもう珍しくない。だが、09年夏の酒井法子逮捕は衝撃的だった。「のりピー」のさわやかなイメージと「覚醒剤取締法違反」という罪名との落差は大きすぎた。関係者が回顧する。
「1986年の岡田有希子の自殺、92年の桜田淳子の統一教会の合同結婚式参加と、それまでも事務所は衝撃的な出来事を体験しましたが、法子の場合は(犯罪であり)、スタッフのショックもまた違った。とくに、オーディションで彼女を見いだし、デビュー時に自宅に下宿させて可愛がった事務所の相澤秀禎会長(故人)は怒りながらも、『法子がよからぬことを考えなければいい』と眠れぬ時間を過ごしていました」
酒井が事件後に初めて応じたインタビューが本誌だった。彼女は息子もいるのに外出さえできない生活を続けていた。本誌記者は彼女に手紙を出した。
「何があったのかを説明して、区切りをつけたらどうでしょうか」
その熱意が届いた。
記者が「お子さんと一緒にかつての生活を取り戻しませんか」と伝えたところ、彼女は「そうしたい」とつぶやいたという。
インタビューで語った言葉には、子どもへの愛情があふれていた。息子は当時10歳。事件後に再会したとき、ぎゅっと抱きしめると、「もう悪いことしちゃダメだよ」と言われた。息子の寝息がいとおしかったと振り返っている。
<いつ母親が帰ってくるかもわからない、そんな不安と寂しさを背負わせてしまいました。いちばん大切にしなければならない子どもの気持ちを、どれだけ疎(おろそ)かにしていたか考えさせられました>