小野:そうですね。結末はかなり違っていました。
福:「2199」のラストから、「さらば」なりテレビ版「2」なりにつなげようとしたときに、若干の齟齬が出る。その齟齬も利用できないかなと。「2199」で、こっちに行くはずがないというところにあえて行っちゃった世界というのは、古代進にとってものすごく予定外な未来になっている。その、どこかで道を間違えちゃったかなという未来が、われわれが今生きている世界で実感していることだと思うんです。そんな現実と、「さらば」のギリギリした空気をうまく合致させて、われわれが、間違っていない正しい未来を探してみようと。
小野:……そこまで考えていらっしゃるとは。すごいです。ヤマトって、ある意味“全部盛り”ですよね。男の子が興奮する艦隊戦のダイナミズムがあれば、不変の愛も描かれている。それから時代まで投影しているという。欲張りな作品ですね!
福井:あまり時代と密着しすぎると、時代と心中しちゃうこともあるんですけどね。新たな空気も取り入れつつ、普遍的な部分は守る。そこのバランスですよね。
小野:今この作品をやる意味、ヤマトが再び旅立つ意味が、すごくあるんだと思います。
※週刊朝日 2017年2月24日号より抜粋