演劇という創作活動で戦い続ける渡辺えりさんと土屋良太さんは、世間の物差しでは測り切れない、強い絆で結ばれている。(※イメージ)
演劇という創作活動で戦い続ける渡辺えりさんと土屋良太さんは、世間の物差しでは測り切れない、強い絆で結ばれている。(※イメージ)
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 渡辺えりさんと土屋良太さん夫婦の出会いは、渡辺さんが主宰する劇団の養成所だった。その後、二人は結婚したが妻40歳、夫28歳と、その年の差は一回り。しかし、演劇という創作活動で戦い続ける渡辺えりさんと土屋良太さんは、世間の物差しでは測り切れない、強い絆で結ばれている。

「渡辺えり『死の恐怖から逃れるため』 演劇始めた理由語る」よりつづく

*  *  *

妻:20歳のころから8年間、本気で交際していた人がいたんです。結婚も考えていたけれど、結局別れることになって。それから40歳になるまで、恋愛らしい恋愛をせずにきたんです。

夫:仕事が充実してきて、それどころじゃなかったんだよね。

妻:そのうちに、すごく好きな人が現れた。年下の銀行マンで、お互い忙しいけど、毎週のようにデートして。3カ月ぐらい付き合ったところで、その彼がイギリスに転勤することになり、私は一緒に行くつもりでいたんです。劇団も解散しなくちゃ……なんて考えてた。

夫:僕らにとっても座長の結婚は大問題でした。解散は寂しいけど、幸せになってもらわなくちゃって思ってましたし。

妻:ところが相思相愛だと思っていたのは私だけだったんです。デートしていたのも「話が面白いから」。

夫:その別れの場面に、僕、荷物持ちしていて、立ち会っちゃったんです。えり子さん、才能のあるすごい人なのに、そういうことにはとんと疎いというか。少女のように泣きじゃくるのを見て、なんかかわいそうな人だなという同情心から守ってやりたいという気持ちに。

妻:それで付き合うようになったのよね。

夫:それでしばらくしたら、「土屋君、いつ結婚する?」。食事しながら、さらっと言うんです(笑)。

妻:そもそも、結婚を焦ってたんです。そろそろ子供を産みたいとも思っていましたし。

夫:うろたえましたよ。そうか、結婚かあって。腹をくくって、佐渡島の実家に電話して。母親に「渡辺えりさんと結婚する」って報告したんです。

妻:反対された?

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