「真田丸」での阿茶局のコワかわいい演技が記憶に新しい斉藤由貴さん。ドラマや舞台に引っ張りだこで“再ブレーク”と言われています。プライベートでは3人のお子さんを育てる斎藤さんですが、自身でも天職だという女優業について、作家の林真理子さんが迫ります。
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林:お嬢さん、斉藤さんに似て美人なんだろうな。
斉藤:下の娘は私と似てないですね。鏡の前に2人で立つと、いつも娘が「どうして私はマミーと似てないんだろう」って言うから、私が冗談で「そうね、病院で取り違えたかもしれない」って(笑)。
林:女の子って父親に似るって言いますもんね。
斉藤:父親にもあまり似てなくて、言うならば私の父に似ているかな。でもうちの母は私の小さいころに似てると言うので、「大きくなったら変わるかもしれないね」って話してるんです。
林:女優さんのお嬢さんって美女の遺伝子を受け継いでますから、年頃になるとお母さん似の美人になるんですよね。
斉藤:でも林さん、それは母親が美女だという前提ですよね。私、美女じゃないですから。
林:斉藤さんが美女じゃなかったら、一体誰が……。
斉藤:三谷(幸喜)さんが「真田丸」の台本にわざわざ「女狸(めだぬき)」と書くような女優ですよ(笑)。
林:そうそう、書かれてました(笑)。きりちゃん(長澤まさみさん)が、斉藤さん演じる阿茶局のことを、「女狐、見た目から言えば女狸でございます」とか言って。
斉藤:あれ、完全にあて書きしたって感じですよね(笑)。
林:阿茶局、コワかったですよ。とくに徳川側の使者として豊臣と和睦交渉するシーン。すご~くかわいらしい感じで、「真田丸、壊しちゃいましょ」「お堀も埋めてしまいましょ」「そうしましょ」とか、恐ろしいこと言っちゃって。ほんと女狸だと思いましたよ。あの場面はドラマのクライマックスでしたよね。
斉藤:私にとっての、後半の見せ場でしたね。
林:昔から言われてたと思いますが、斉藤さんってコメディエンヌの才能がありますよね。お目にかかるとまじめなきちんとした方なのに、演技となるとフワ~ンとした不思議なおかしみが出せる。