しかも、日本観測史上最大のM9.0を記録した東日本大震災よりも陸地に近い分、強く揺れ、津波も早いところでは5分後に到達すると予測されている。
「東日本大震災の震源域は陸から100キロ離れていました。しかし南海トラフ地震の震源域は一部が陸にかかっており、かつ浅いのです」(同)
古村教授によると、東日本大震災では揺れの周期が0.2秒くらいでガタガタガタと小刻みに何分も長く続いたのが特徴で、こうした揺れは家屋を倒すことは少ないという。一方、揺れの周期が1~2秒でユッサユッサとした揺れは、一瞬のうちに家屋を倒す。後者は阪神・淡路大震災や熊本地震で見られたという。
「南海トラフ地震の揺れは、両方の性質を併せ持つ。阪神・淡路大震災や熊本地震のように家屋を壊すような揺れが、東日本大震災なみに何分間も続くと考えられるのです」(同)
強く揺れると思われる地域には、東海道新幹線や東名高速道路など経済・流通の大動脈が走る。内閣府の中央防災会議などは最大で30万人以上が死亡し、経済被害はおよそ220兆円に達すると試算している。
「津波に対する防災意識は高まりましたが、家屋を耐震補強して、家具も倒れないように固定することが先決です。家の下敷きになったら避難もできません。水や食料も今から備蓄を。備えることが大切です」
まずは地震から生き延びることが肝要なのだ。
※週刊朝日 2017年1月6-13日号