作家・室井佑月氏は、マスコミの“レッテル貼り”する姿勢に苦言を呈する。
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レギュラーで出ている「大竹まことゴールデンラジオ」、ゲストに石田純一さんがいらしてくれた(12月9日収録、16日放送)。
都知事選に出馬するかしないかで揉めた経緯を伺ったのだが、
「本気で都知事になろうと思ったのか?」
そうまわりの人々に嗤(わら)われた、という話をしていた。なぜ彼が、嗤われなきゃならない?
都知事選は参議院選の直後にあった。参議院選では野党が共闘し良い流れが出来た。それに、小池百合子さんが出馬することとなり、自民党は分裂していた。
でも、最大野党の民進党がすぐに候補を決められず、その経緯が毎日のようにメディアに取り上げられた。その間に、小池さんは自民と戦うといって、メディアジャック。そんな中、石田さんは、前に出てきた。
出馬表明直後から「ただの目立ちたがり屋」とかコメンテーターたちにいわれ放題。けど、そんなことは想定内だったと思う。
彼は安保反対デモに出て、仕事が激減した。家族もいるのに、目立ちたがり屋でそんなことするわきゃないだろ。
あたしもまわりに注意されながらデモに出た一人だからわかる。国会前に一人でも多くの人間が集まれば、その思いに尽きた。
逆にあたしは問いたい。石田さんを執拗に嗤い者にしたてあげたマスコミは、なぜそんなことをしたのかと。阿呆だというレッテルを貼り付けて、彼や彼のように動こうとしていた有名人の今後の動きを封じる、といった狙いはなかっただろうか?
長渕さんは、
「アメリカの大統領が誰になろうとも、凶と出るか吉と出るかって、そりゃ俺達次第じゃねぇか、今日もマスメディアの誰かが無責任な話ばかりしている」
「オリンピックもいいけどよ、若者の貧困、地域の過疎化どうする?」
と歌った。閉塞感たっぷりの世の中に、彼の武器である歌で、正面から穴を開けた。格好良かった。
しかし、これがネットニュースになると、
<シンガーソングライター、長渕剛さんの名曲「乾杯」といえば結婚式などお祝いごとの定番ソングとして知られ、聞くと幸せな気持ちになったりするが、「腹を抱えて笑ったwww」などとネット上で大騒ぎとなる事態が起きた>
ってことになる。
<テレビの歌番組で長渕さんが披露したのは、今の日本や音楽界、メディアを批判する歌詞に変えた「乾杯」だった。しかしその歌詞に意味不明なものがあり「中学生の作文か?」などといった苦言も出たが、視聴者は長渕さんのパフォーマンスを堪能したようだ>
J‐CASTニュースな。
長渕さんに阿呆のレッテル貼りをしたいみたいだ。あの歌詞が意味不明?
※週刊朝日 2016年12月30日号