
作家や経済評論家としてはもちろん、大阪・セビリア・上海万博等にかかわり、精力的な活動を続ける堺屋太一さん。いまの日本が抱える問題点を指摘すると同時にこれからやるべきこと、ご自身がやりたいことについて、作家の林真理子さんに楽しそうに語ってくださいました。
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林:先生は少子化問題については、「女性に母性愛がなくなっているんじゃないか」ともおっしゃってますね。
堺屋:少子化の原因は、24歳以下の女性が子どもを産まないことにあります。24歳以下で子どもを産む女性が、アメリカでは千人中112.5人いるのに対し、日本では35.7人。若い人にもっと子どもを産んでもらいたいし、産める環境をつくらなければいけない。
林:ところが、たとえば成人式で市長が「できるだけ早く子どもを産んで」なんて言おうものなら、もう袋だたきですよ。女性は「お上にそんなこと言われたくない」って思うわけです。
堺屋:戦時中に「産めよ殖やせよ」と言われた反動が、いまも続いてるんでしょうかね。ただ現実問題、若い人が子どもを産まないのは大変な社会的損失です。
林:私の時代までは、大学3年ぐらいでお見合いして、在学中や卒業直後に結婚するのがいいところのお嬢さんのステータスでしたけど。
堺屋:私が通産省にいたころは、東京の有名女子大の卒業アルバムが役所にドサッと届いて、「キャリアの若手官僚を紹介してほしい」と言われました。
林:まあ! それ、いまも届くんですか。
堺屋:いまはありません。バブルのころあたりになくなったんじゃないですかね。官僚もそれほどエリートでなくなってきましたから。
林:でも先生、少子化問題って難しいですね。何か言うと女性の怒りを買うし。いろんな生き方を認めなきゃいけない、ということなんでしょうけど。
堺屋:なぜ女性が怒るのか、まったくわからないんです。私と家内(画家の池口史子さん)は結果的に子どもができなかったので大きなことは言えませんが、老後に子どもに会えるというのは、大変なぐさめになると思いますよ。
林:先生は奥さまと仲がいいことで有名ですもんね。パーティーでもいつもご一緒で、とっても素敵なご夫妻。