イラク、アフガニスタンなど戦闘地域では指揮命令系統のルールは確立されているが、ケニアのような欧米の友好国がテロ現場になり、民間人が巻き添えになる危険があると英国政府、ホワイトハウスなど政治家もその責任を負わざるを得ない。もし、あなたの国で同じことが起こったらどうする?と考えてもらう作品だ。
劇中では工作員がテロリストの動向を探るために飛ばす、小型ドローン(鳥型、昆虫型などでスマホで操作できる)も登場するが、実際に軍で使われているものをモチーフにした。ホワイトハウスでは毎週火曜日、世界中のテロリストが載った暗殺リストの中から今週は誰を殺すかを大統領が決める、「恐怖の火曜日」といわれる会議がある。裁判官、検察官、弁護士、死刑執行人とすべての役割を大統領が担う。私の個人的な意見だが、トランプが大統領になり、これからその役目をどう果たすのか。考えただけでも恐ろしい。彼の判断次第で戦争が起こる。映画の取材過程で、テロリストとみなされ、リストに名前が載って実際、2回も攻撃された人をインタビューした。その人はたまたま現場にいただけでテロとは無関係と言っていたが、いまだに狙われている。
近年はドローンの誤爆などで民間人の犠牲者が増加。その影響でドローン操縦士がPTSDになるなど問題化している。日本も「駆けつけ警護」などで自衛隊が海外で本格的に活動するのであれば、ドローンをどう扱うか、真剣に議論すべきときでしょう。(構成 本誌・森下香枝)
※週刊朝日 2016年12月16日号